語の浸透

 

・霧しぐれ分け入る山の深さかな

 

ことばを知って使い始めても、
初めはなかなかしっくりきません。
しかし使い使い
しているうちに、
枝葉がとれ
幹がだんだん太くなるように、
自分のからだと心になじんできて、
しみじみ、
その語しかないと思えるような瞬間がやって来ます。
俳句の季語はもちろん、
ごく一般的なことばでも、
身に着ける服に似て、
ことばに浸透し、
ことばが浸透してくる時間を
大切にしたいと思います。

 

・山路来て荷を下ろしけり秋桜  野衾