水中トイレ

 

・秋の蚊を避(よ)けて厠の狭きかな

 

用を足したくなりトイレに向かうや
ずらり行列ができていて
どこのトイレも
地上では
似たり寄ったり
腕時計を見れば
すでに二分経っていて
ならばと
水中トイレに。
深い碧の水を湛え
二メートルほど潜った先が
洞窟になっており
そこをうまくあしらって室ができている
息を殺して一気に潜る
しかし
こちらもどこもいっぱいで
切なる授業はもうすぐ
始まってしまう

 

・稲妻や密(みそか)の事を暴きゆく  野衾