記憶を食べる

 

・新涼の碧の風の渡りけり

 

同期会の帰りに青りんごを買って帰宅したものの、
その日は腹がふくれており、
急ぐ必要もないので、
たのしみは翌日へ持ち越すことに。
日が改まり、
今度は弟が青りんごをたずさえやって来ました。
ありがたし!
事前にメールし、
青りんごのことを尋ねていたのでした。
前日わたしが買ったのと合わせると
4+5=9
帰省のあいだ食べ続けてもじゅうぶん間に合います。
ウッシッシ。
というわけで、
よく水洗いし皮ごとガブリ!
さらにガブリ!
ガブリ。
ガブ。
ふむ。
はて。
もひとつガブリ。
む、む、む、
こんな、
あじ、
だった、
か?
もうちょっと、
なんというかこう、
もう少し…
つまり、
記憶のなかの青りんごとあまりにちがいます。
横浜に帰る日の朝まで
「ちがうちがう」を唱えつつ
連日食べましたが、
記憶と現実の断層を埋めることは
とうとうかなわず終ってしまいました。

 

・新涼や鳥海山に雲かかる  野衾