小説の時間

 

・夏草や折れた鎖骨は遠位端

 

朝はひきつづきハンス・ヘニー・ヤーン。
プルースト、ジョイスはもちろん、
トルストイ、バルザック、
源氏物語でも、
最初のページから
血わき肉躍る
なんてことはまずない。
むしろそれがいい。
おもしろくないのがおもしろい!
なんて。
いや、
強がりでなく。
しているうちに、
ダリの時計の絵のように時間がぐにゃりと歪みはじめます。
このぐにゃり感がえも言われない。
物語のおもしろさとはまた別な気がします。
小説の時間が
現実日常の時間とパラレルに
同等の、
ときに、
それ以上の厚みをもって走るには、
ある長さが必要です。
一か月、二か月、
半年ぐらいだと尚いっそう。

 

・遠位端夏の涙の乾きけり  野衾