岸辺なき流れ

 

・白シャツの乾きて風に吹かれけり

 

ハンス・ヘニー・ヤーンの『岸辺なき流れ』
上巻半ばまで。
読み始めは、
ちょっとこれきついなあ、
と思ったものですが、
物語の独特の進行に慣れてきたのか、
小説を読む醍醐味がじわりと。
ヤーンはマイナーな小説家らしく、
日本ではあまり読まれていないようです。
プルーストやジョイスと比較される作家ですが、
本人はカフカを意識していたのだとか。
この本を知ったのは、
図書新聞に掲載された書評でした。
いま手元にないので、
どなたの
どんな内容の書評だったのか
忘れてしまいましたが、
緊張感のある
いい文章だったと記憶しています。
書評がよかったので、
そういう小説なら読んでみようと思いました。
装丁は間村俊一さん。
ヤーンの小説では、
ほかに『十三の不気味な物語』が
種村季弘訳ででています。

 

・夏静かカレーの匂ひ屋に充つ  野衾