幌馬車部隊

 

・祖父の膝つんつるてんの端居かな

 

昼、すぐ近くの定食屋で食事。
ブリの煮つけ、
豚肉の野菜炒め、
シラスとほうれん草の小鉢、
みそ汁、
ごはん、
漬物、
サクランボ。
よく噛んで食べていたところ、
わたしより遅く入ってきた客が
勘定を済ませ、
つぎつぎに帰っていきます。
まあいいさ。
わたしはわたし、
ひとはひと。
と、
「あのー、ベビーカーも入っていいでしょうか?」
「え。あぁ。どうぞどうぞ」
と店のマスター。
「ありがとうございます」
すると、
つぎつぎに、
幌を掛けたベビーカー四台が店の中に乱入、
いや、進入。
若いママさん四人、ベビーが四人、計八人。
店の一角を占拠。
わたしの食事もどうやら終わりをつげ、
腰を上げ勘定を払おうとすると、
マスターが小声で、
「西部劇にでてくる幌馬車部隊を連想するね」
「アハハハ… たしかに。ごちそうさまでした」
西部劇か、
しばらく見てないな。

 

・退院の忘れ物なし夏の空  野衾