大山倍達

 今朝からは春だ小糠の雨降りだ!
 極真会館の創立者にして、幾多の伝説を生んだ空手家大山倍達先生の夢を見た。
 巨大な建物に入ると、各部屋を仕切っている襖は開け放たれており、畳が延々果てなく続いているように見えた。ネクタイ姿のサラリーマンが大勢いて、部屋ごとに決められた稽古をこなし、この部屋の稽古を終えればあの部屋へと、つぎつぎ移動していった。わき目をふるものなどいない。
 呆気にとられていたわたしは、ふと、部屋の片隅に置かれていたノートに気がついた。木の丸椅子の上にのっていた。
 見ると、大山先生直筆のメモで、なにやら極真の極意を記しているようであった。瞬間に会得した真理を、瞬時を惜しむように書き留めた文字に圧倒された。文字からモワモワと炎と気迫のクハーッ!の声が立ちのぼってくるようだった。でも、これを編集してまとめるのはかなり大変な作業であるなと、ちょっと感じて、急ぎノートを閉じた。だれかに見られているような気がしたからだ。サラリーマンたちは汗を掻き掻き、相変わらず黙々と稽古に励んでいた。わたしの普通の感想など、だれも聞きとめてくれそうになかった。クハーッ!!
 春眠や磁石となりて瞼寄る

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