体調をくずして以来、料理したものを食べれば美味しいとは感じるものの、
みずから、あれを食べたい、これを食べたい
という欲求がまったくと言っていいほどなくなっていました。
たとえば、好きなキンキの塩焼きなどは、
若いときから、
想像するだけでよだれが口中に広がったものでした。
それが、不調のせいで、そうならない。
キンキの塩焼きですらそうなのに、ましてほかのものは推して知るべし、
でありました。
ところが先日のこと、鍼灸の施術をしてもらったあと、
横浜駅から保土ヶ谷の自宅まで歩いてみようと考え、歩いてみた。
歩いているうちに、だんだん疲れてきた。
そりゃそうだな。
元気なときでもかなりの距離なのに、
いまの状態でこの距離を歩くのは、
無謀ではないにしても、すこし無理があったかもしれない、
そりゃそうだ、
などと思いながらも、てくてく歩いていたら、
こんどはむしょうにおなかが空いてきた。はらへったーーー!!
この感覚、なんだか久しぶりな気がして、うれしくなった。
とりたててなにを食べたいというわけではないけれど、
とにかくおなかが空く感覚というのが、大げさにいえば、生きてるーーー!!
みたいな。
食欲、性欲、睡眠欲というけれど、
どれも生きている感覚、生きる欲望に直結しているものなんだなぁ、
と改めて実感した次第。
・家々の竈のけむり雪しんしん 野衾

