例年なら八月にするところ、仕事上、進めておきたいこともあり、
ひと月ほど遅れての帰省になりました。
ふるさとに帰って楽しみなのが散歩でありまして、
本でいうなら、再読にちかいでしょうか。
九月のこの時期はまさに稲刈りのシーズンで、
青空の下、みのった稲穂が風にゆれ、黄金色に広がっています。
家を出て、左へ行くもよし、右へ行くもよし、風の吹くまま気の向くまま。
一歩一歩がうれしく、たのしく、
気がはずんできます。
山崎さんの家を過ぎれば、あとは建物がなく、
記憶のなかの坂道、沼、蛇行する道の景色が目の前に展開し、
すきな詩を読みかえすような味わいは、
たとえようがありません。
ひかり、ひかり、ひかり、どこもかしこも、
なにもかも、
ひかりに溢れ、ひかりに満ちています。
ひかりを浴び、ひかりをすくい取り、ひかりをいただきます。
景色が景色でなくなる瞬間、
わたしは呆然と立ちすくみます。
・棒を離れまた棒の先赤とんぼ 野衾

