そもそも

 

 春風や背中押されて進みけり

ワン・ツー・スリーで、
今日も
『突撃! よこはま村の100人 自転車記者が行く』
について。
そもそもこの企画を考えたのは、
昨年起きた東日本大震災がきっかけでした。
わたしがよく行く保土ヶ谷のOさんという床屋が、
電気バリカンでわたしの頭を刈りながら、
「たいへんなことになっちゃいましたね。
風呂にも入れないっていうし。
わたしも向こうへ行って、
頭を刈ってあげたいと思うんですけどね。
風呂に入れなくても、
散髪するだけでもサッパリしますから。
でも、なかなか。商売があるとね」
この言葉にピンと来ました。
そうか。
そう思っている人は少なくないんじゃないか。
というより、
多くの人はそう思っているに違いない。
でも、
思っても、
体を現地に運ぶことはなかなか難しい。
したくても、
できない現実もあるだろう。
ならば、
本をつくることで、
思いの一端でも形にし、
現地との交流のよすがにできないだろうか。
神奈川新聞社の好評連載コラム「自転車記者が行く」の
佐藤将人記者にそのことを話したところ、
すぐに了としてくださり、
印税分を被災地へ送ることになりました。
「自転車記者が行く」は、
市井の人びとの暮らしぶり、
人情を細やかに取り上げています。
佐藤記者が自転車を駆って集めたキラキラする記事ばかり。
街の魅力は、人の魅力と気づかされます。
日々の暮らしと営みが新聞に取り上げられ、
それが本になることで、
被災地の人びととつながるよすがとなり、
被災地を思い、
被災地の復興を願い、
思い続けて、
でも持ち場を離れず自分の足場を固めること。
暮らすということ。
それぞれがそれぞれの役割をしっかり果たすこと。
そのことも大事ではないかと思いました。
昨日の神奈川新聞に、
佐藤記者が「「春風」に乗り書籍化」と題し、
記事を書いてくださいました。
コチラです。

 一陣の風浴び芽吹くいのちなり  野衾