ヘソ出し

 小社の営業の新人Oさんが、たまに背中(「背中」という言い方がオジさん臭いと、この日記を読んでくれている知人に指摘された)を、そうと知らずに出していることを、先日ここに書いたけれど、背中(あるいは、腰)どころか、ヘソを含めた腰回り全部を出しつつ(見せつつ)歩く若い女性(無表情)と、会社の近くでしばしばすれ違う。きのうもそうだった。
 こっちは坂の上り。彼女は下り。こっちは黒のダウンジャケットを身にまとい、お〜さむさむ、などと口ずさみながら上って行く。彼女は赤いダウンで、寒さなど意に介さぬかのように、肉付きのいい少し色黒の肌をさらし、ずんずんずんずん近づいてくる。日本人ばなれした顔(カラーコンタクトのせいか)の彼女、よそ見をしない。ぼくはといえば、この寒いのにヒョエ〜、で、どうしても彼女のヘソの辺りに目が行ってしまう。ファッションとはいえ、あの根性は見上げたものだ。電車でも居酒屋でも、ドアがちょっとでも開いていると、そこからヒュ〜ヒュ〜風が入ってきて、寒さがよけいにこたえるものだが、ヘソ出しの彼女、寒くないのか。そんなはずはないだろう。あそこまでいけば、ほとんど修行者の荒行をみずからに課しているとしか思えない。