さまざまのこと 31

 

わたしの叔母にM子(きのう書いたM子とは別の)がいました。
嫁いだ先が秋田県昭和町山田にありまして、
あとから知ったのですが、
そこは、
秋田の二宮尊徳といわれた農聖・石川理紀之助ゆかりの地でもあります。
理紀之助さんは、
弘化2年(1845年)2月25日、
秋田市金足小泉の農家、奈良周喜治の三男として生まれ、
21歳のとき、潟上市昭和町豊川山田の石川長十郎の養子となったことが、
ネットでしらべれば、すぐにでてきます。
わたしの祖父は理紀之助さんが好きで、
子どものわたしに話して聞かせることもありましたから、
尋ねたことはなかったけど、
むすめM子の結婚を考えるとき、
祖父のあたまに、結婚の相手が理紀之助さんゆかりの地の人か、
の認識が少なからずはたらいていたのではないか、
と想像します。
それはともかく、
子どものころ、弟といっしょに何度か、おばさんの家に遊びにいきました。
同じ歳ごろのいとこもいました。
バスで羽後飯塚駅まで行き、そこから汽車で大久保駅へ。
そこで降りて、
てくてく歩いていった記憶があります。
けっこうな距離でした。
おばさんの家に着き、いとことすぐ近くの高台で遊んだりもしましたが、
それよりなにより、
はっきりと記憶に残っているのは、
おばさんが作ってくれた赤茶色をしたご飯です。
鶏肉も入っていました。
なんと美味しかったことか。
はじめて口にする味。
こんな美味しいものが世の中にあるのかと驚きました。
赤茶色がケチャップの色、
なんてことは、当時思い及びもしません。
こころ根のやさしい人でしたが、
病気で割と早くに亡くなりました。

 

・紫陽花や古民家裏の狭き庭  野衾