ビートルズのこと 3

 

マーク・ルイソンさんの『ザ・ビートルズ史 誕生』は、ぶ厚い本だけに、
ビートルズのことはもちろんですが、
周辺の小ネタがこれでもかとちりばめられており、
読みながら、へ~、だの、ほ~、だのと声が出てしまいます。
下に引用する箇所など、
そういうたぐいのひとつ。

 

〈ザ・ツイスト〉が大流行したのは、
それが非常に優れたリズム&ブルースのレコードだったから
というだけでなく、
チャビーのダンス・ステップのためでもあった。
それは誰にでも踏めるステップで、
実際に誰もがそのステップを踏んでいたのだ。
加えて、
ツイストは一人で踊ることのできるダンスで、
大衆向けの初めての単独で楽しめるダンスとなった。
ツイストは
「想像上のバスタオルでお尻をふく動きをしながら、
片足でタバコの火をもみ消すようなしぐさをする」ダンスだ
という印象的な表現で紹介されたことがあるが、
フロアはたちまちのうちにツイストを踊る人たちであふれ返るようになった。
思いもよらない成り行きで、
みんながツイストを踊り出したのだ。
かつてロックンロールがホワイトハウスまで揺るがしたことはなかったが、
アメリカのメディアは
ケネディ大統領夫妻がパーティでツイストを踊った
という噂でにぎわった。
誰も彼もがツイストを踊りまくった。
そして踊らない人たちは、
なぜ踊らないかという話をした。
(マーク・ルイソン[著]山川真理・吉野由樹・松田ようこ[訳]
『ザ・ビートルズ史 誕生』(下)河出書房新社、2016年、p.233)

 

文中のチャビーとは、チャビー・チェッカーさん。
踊りのにが手なわたしは、踊ったことはもちろんありませんけど、
テレビで見たことはけっこうあります。
中尾ミエさん、伊東ゆかりさん、園まりさんだとか。
それにしても、
「想像上のバスタオルでお尻をふく動きをしながら、
片足でタバコの火をもみ消すようなしぐさをする」ダンス、
というのは言い得て妙であると思います。

 

・階段の段数かぞふ春隣  野衾