ビートルズのこと 2
西川長夫さんの『[決定版]パリ五月革命 私論 転換点としての1968年』
を読んだとき、
その前史としての
フランスによるアルジェリアの植民地支配についても触れられており、
世界史のエポックとして1968年の意味を考えるとき、
アルジェリア戦争を抜きには語れない
ことを西川さんの本から教えてもらいました。
それが、ビートルズの歴史にまで響いていることを知り、
こんなふうに、ひとりひとりの歴史に国家の歴史、世界の動きが影響している
ことを改めて考えさせられます。
ジョンとポールはたまたま町が特別に不安定な時期にパリに居合わせた。
二人が滞在していた同じ週に、
ミュージック・ホールABCのロビーが爆弾によって破壊され、
その数日後には、
レイ・チャールズのコンサートがパレ・デ・スポールで予定されていたが、
アルジェリア人だけに課された夜間外出禁止令
に抗議した6000人のイスラム教徒が、
警察によりこのアリーナ内に抑留されていたため、
公演は延期となった。
アルジェリアは血を流しながら
フランスの植民地支配からの独立を求めて戦っていたのだが、
パリ中が、
いやフランス中が歴史を左右するこの重要な出来事の渦中にあったのである。
テロ活動はピークに達し、
そのためパリ警察は抗議集会の最中にデモの参加者40名を銃殺した。
ポールは、
フランス人が電気屋のテレビの前に群れて、
ド・ゴール大統領の演説を見ていることをずっと記憶にとどめていて、
このときの光景をのちに歌にしている。
(マーク・ルイソン[著]山川真理・吉野由樹・松田ようこ[訳]
『ザ・ビートルズ史 誕生』(下)河出書房新社、2016年、pp.188-189)
わたしは聴いたことがないけれど、
ポール・マッカートニーさんの曲で「セーヌのカフェ・テラス」
というのがあり、
1978年に発売されたウイングスのアルバム『ロンドン・タウン』に収録
されているそうです。
・電線に雀十二羽春隣 野衾