いねむりの味
家で本を読むのは、本棚横のソファにすわって、ということになっています。
二十年以上つかっているので、革が疲弊してきたらしく、
たしかコロナ前だったと思いますが、
専門業者をよび、
革の破れそうになっているところを直してもらいました。
あれから数年たちまして、
こんどは右手指先の触れる辺りの革がひび割れてきました。
このソファも、
わたしと同様だいぶ齢を重ねました。
読書の同行二人
といったところでしょうか。
このソファにふかく腰かけて本を読んでいると、
食事の時間や散歩の時間は離れても、
何時間でも、一日でも、読みつづけられますが、
途中一、二度、眠くなることがあります。
大きなあくびが出ますから、からだが眠りを欲していると気づきます。
本を横において、リクライニングを倒し、
目をつむります。
目をひらき、壁の時計を見やると、
十五分、二十分たっています。
あたまがスッキリし、なんとも気持ちがいい。
横に置いた本をふたたび手にとり、つづきを読み始めます。
以前は、本を読み、疲れてそのまま眠ると、
金しばりに遭うことがありました。
が、
このごろは、
そういうこともなくなった。
なので、
あくびが出ると、しめた!
となって、
すぐに本を横に置き、リクライニングを倒して目を閉じる。
たのしい居眠りの時間。
・不要不急なれど冬の散歩かな 野衾