『聖書』をよむこと

 

たいらに言うと、なんの本でも、気になることばは調べたりしつつ、ゆっくりと、
無手勝流にただ読んできましたので、
それは『聖書』であっても変りませんけれど、
大貫隆さんの『聖書の読み方』(岩波新書、2010年)を読み、
これまでのじぶんの読み方を振りかえる
いい機会になりました。
とくに、
四つの福音書について、
書き手によって力点の置き方がちがっていることを、
福音書の文章を具体的にとり上げ論じていて、とても合点がいきました。
いい本だと思います。
こういう本が出てくると、
「なんとなく胡散臭いキリスト教」というイメージが少しずつでも変るかもしれないな、
とも感じました。
また、読みながら、
この本に直接関係はしませんけど、
しかし、
なにかがどこかと接触したのか、
スパークするような具合で、
この本によって触発された部分がたしかにありました。
それは、
仏教との関連でなく、
田辺聖子さん、織田作之助さん、井原西鶴さん
など、
大阪の土地と風土から醸しだされるもろもろを通して、
また、
それとの関連を意識し、
耳を澄ませながら、
『聖書』を読み返したい、ということです。
大貫さんの個人的体験からつむぎだされた「真の経験は遅れてやってくる」
というのは、まったく同感です。

 

・待ち合いに人の寄り来る溽暑かな  野衾