方言の味 2

 

このあいだ関東でもめずらしく雪が降り、足元を取られそうになりながら、
恐る恐るちょびちょび歩いて家まで帰りました。
翌朝、
ちょうど実家に電話をかける日だったので、
電話口に出た父に前日からその日の天気について話をしたあと、
ところで秋田のきょうの天気はどうだ、
と尋ねるや、
間髪を入れずに、
「まんどだ、まんど!!」
ん!? ああ、
まんど、か。まんど。なつかしい!
秋田のわたしの地方では、明るいことを「まんど」という。
「窓と関係あるのか?」
と父に尋ねると、
「わがらねでゃ」の返事。
「窓(まど)」自体は、ふるいことばで、
万葉集にも出てくる。
関係あるのかもしれないが、
いまのところ調べがついていない。
けさ、
実家に電話すると、
電話口の父は、開口一番「きょうもまんどだ、まんど!!」
意味としては「明るい」
だけれど、
「まんどだ、まんど!!」を耳にした瞬間、
光がまるで爆発しているかのごとく、生成の現出をともなった明るさであると、
からだは覚え、知っています。

 

・缶コーヒー両手でつつみ春を待つ  野衾