イカの塩辛

 

父も母もイカが好きなので、わたしも小さい頃からイカが好きだったし、
いまも好きです。
小学生のときの弁当には、
よくイカを醤油で煮たものがおかずに入っていました。
イカを使った料理は何でも好きで、
ひつぜん、
イカの塩辛も好んでよく口にしてきました。
究極、
じぶんで作ることを考えたりもしましたが、
いろいろ難しいことがありそうなので、
それは諦め、
もっぱら、
ふつうに売られている商品のなかから、これはと思うものを手にし食してきました。
それぞれ特徴があって
それぞれ好きですが、
波座(なぐら)物産の「昔ながらの濃厚熟成塩辛」は、
はじめて口にしたとき、
その美味しさに、うなりました。
こ、これがイカの塩辛か!!
まさにそんな感じ。
波座(なぐら)とは?
ホームページに、
「暖流と寒流とが重なる、潮の境目をさす言葉」
とあります。
潮が重なるその場所には、
豊富なプランクトンが発生し、多くの魚が集まり、海鳥が上空を舞い、
それを目印に昔の漁師たちは漁をした、
ということも記されています。
すっかりファンになり、
店頭はもちろん、
インターネットを通じて注文したり。
「昔ながら」
というところがミソでしょうか。
調味料で味付けする一般的な塩辛とちがい、
三十日以上をかけ、
じっくりと熟成させるそうなので。
熟成によって培われたり醸されたりするモノは、
天然自然の営み(時間)にまかせる部分がどうしてもあるような気がします。
あの味は、
人と自然が織りなすハーモニー、
そういうことでしょうか。
本づくりにおいては、
校正にかける時間がそれに相当するように思います。

 

・再診に一喜一憂春嵐  野衾