ちいさな感動 2

 

小津安二郎監督の映画に『東京物語』があります。
冒頭のシーンで、
旅支度をしていて東山千栄子さん演じるおばあさんのとみが、
「空気枕ぁ、そっちぃ、入りゃんしたか?」
と尋ねる。
すると、
笠智衆さん演じるおじいさんの周吉が「空気枕ぁ、おまえに頼んだじゃないか」
と応えます。
が、
けっきょく、周吉の勘違いで、
周吉の荷物のほうに入っていたことが分かります。
映画を二度目に観たとき、
そのシーンに、
けっこうな時間をかけていると思い、
印象に残りました。
それが、物語の最後のほう、
とみが亡くなった日の朝、
外に出掛けた周吉を探しにきた、
原節子さん演じる息子の嫁・紀子に語りかける周吉のセリフ
「ああ、今日も暑うなるぞ……」
と重なり、
生きることはたたかいなのだ、
との感想を持ちました。
こんかい、
秋田に帰省し、
ほんの数日しかいませんでしたが、
どれほど仕事をしたらこんな指になるのだろう?の齢92の父と、
歩けなくなった齢88の母の日常は、
覚束なくなった記憶とも重なり、
まさに刻一刻のたたかいであると感じさせられた。
母が歩けなくなってから毎週母に手紙を書くようにしてきましたが、
それを今後も継続することを母に約束し、
また来るよと言って別れてきました。

 

・またの日は弟を連れ猫柳  野衾