おカネを稼ぐのは容易でない

 

どの職業でも、おカネを稼ぐのは容易でないわけですが、
それはそうではありますけれど、
このごろとみに考えさせられる場面に出くわします。
先だってタクシーに乗ったときのこと、
よく話す運転手で、
よほど腹に据えかねていたのか、
問わず語りに、
クールポコのお笑いを彷彿とさせる口調で
「こんな客がいたんですよ~」
と。
いわく、
「良かれと思って、最短のコースを選び車を走らせていたらですね。
客がいきなり怒りだし、
なんでこの道を走るんだよ、ええっ、この雲助がーーー!!
雲助ですよ。くもすけ。
雲助なんてことば、久しぶりに聞きました。
酔っぱらっていたんでしょうけど。
わたしも、
どのコースで行きましょうかと確認していればよかったんですが…」
高齢の運転手でした。
雲助とは。
『明鏡国語辞典』によれば、

 

江戸時代、宿場や街道で荷物の運搬や駕籠(かご)かきなどに従事した無宿者。
人の弱みにつけ込んで法外な金銭を取るなど、
悪事をはたらく者も多かった。

 

げに、おカネを稼ぐのは容易でない。
まっこと。
頭に来たり、腹に据えかねたり。
じぶんのことに照らし合わせ、いろいろ考えさせられました。

 

・彼方より冬の光のひるがへる  野衾