応援歌

 

『栄冠は君に輝く』という歌があります。
半世紀も昔になりますが、
高校に入学した折、
学ランに身をつつんだ応援団の方たちが教室にやって来て、
多くの歌を教えてくれました。
そのうちの一つ。
加賀大介さん作詞、古関裕而さん作曲のこの歌は、
「全国高等学校野球大会の歌」として、
いまも甲子園で流れます。
「応援歌」といって、まず思い浮かぶのがこれ。
聴けばいつでも高揚し、
気分がふるい立ってくるように感じます。
ところで、
そういう感じとはちがいますけれど、
「応援歌」と呼んでいいのでは思うものに、
ビリー・ホリデイの『レディ・デイの肖像(A PORTRAIT OF LADY DAY)』
があります。
彼女のCDを何枚か持っていますが、
いちばん聴くのがこれ。
親しくさせていただいた詩人の飯島耕一さんに、
『ゴヤのファースト・ネームは』
という詩集がありまして。
その一節。

 

 

何にも興味も持たなかったきみが

ある日

ゴヤのファースト・ネームが知りたくて

隣の部屋まで駆けていた。

 

 

この箇所を目にした瞬間、かつて、涙があふれてきたことがありました。
いまはそんなことはないけれど、
休日、
コーヒーを飲みながら、
ビリー・ホリデイのお気に入り二枚組CDを聴いていると、
不意に思い出すときがあります。

 

・誇らかに鶯の声ひびきをり  野衾