栗山英樹さんのこと
秋田魁新報の「ひと旬」の欄に、
WBCで優勝した日本代表監督の栗山英樹さんのことが載っていました。
通信社からの配信記事かと思われます。
後半部分に、
こんなことが書かれていました。
現役引退の引き金となったのが、めまいなどを引き起こすメニエール病だった。
「本当に苦しくて、人生、どうなっちゃうんだろうと思っていた」
と述懐する。
若いころは病気のことを口に出すとめまいが起こる
のではないかと不安になり、
周囲に伝えることは少なかった。
今は
「自分のことばかりを考えてどうするんだと思って。
俺、元気でやってますからと、同じ病気の方の不安を少しでも取り除けられれば」。
講演会などで病気のことを積極的に口にする。
野球を「師」と呼び、
人生のいろいろなことを競技を通して学んできた。
ただ、
今後はユニホームを着る気はないと断言した。
「若い人のために、場所を空けておいてあげないと」
と優しい表情で笑った。
東京都出身、61歳。
(2023年3月23日『秋田魁新報』「ひと旬」より)
引用した記事に書かれている主旨は、
ネットニュースで見たり、
テレビの特集番組で見て知っていましたが、
栗山さん本人のことばとして引用している文言のなかの、ひとつのことばに目が留まりました。
「自分のことばかりを考えてどうするんだと思って」
がそれです。
こういうふうに思い、考える人なんですね。
すごいなぁ。
宮沢賢治さんの詩「青森挽歌」のうしろの方に、
こんなことばがあります。
感ずることのあまり新鮮にすぎるとき
それをがいねん化することは
きちがひにならないための
生物体の一つの自衛作用だけれども
いつでもまもつてばかりゐてはいけない
「いつでもまもつてばかりゐてはいけない」
このことばが、
栗山さんのことばに重なります。
『賢治の前を歩んだ妹 宮沢トシの勇進』という学術書を先月刊行したばかりですが、
著者の山根知子さんは、
賢治さんと妹トシさんとのこころの行き交い、
信仰のあり様を、
ライフワークとして研究されておられる方。
その本を編集しながら、
賢治さんとトシさんの、
精神のひびき合うかたちを見させてもらい、
それを通して二人のいのちに触れさせてもらった気がします。
賢治さんが妹のトシさんを思う気持ち、
栗山さんが選手たちを思う気持ち、
そこに共通したものを感じます。
・散り残る眼下名残の花に風 野衾

