翔べないエンジェルの飛翔

 

高校二年生になる義理の姪が、住まいする土地のジュニアオーケストラで、
コンミスを務めることになり、
家人はその公演を観に出かけました。
「コンミスを務めることになったんだってー!!」
と、
妹からのメールに歓声を上げた家人が、
「ゆうちゃん、コンミスを務めることになったんだって!」
「…………コンミスって何?」
「オーケストラのコンミスよ」
「いや。オーケストラは知っているけど、コンミスは知らない」
「コンサートマスターがコンマス、コンサートミストレスがコンミス」
「ああ、そういうことね。ゆうちゃんがねえ。それは凄い!」
と、
なんとも間の抜けた発言をしてしまいました。
それはともかく。
ゆうちゃんがまだ二歳の頃だったと思いますが、
白いドレスを身にまとい、
ちょこんと、しょぼんと、状況が分からないような、
不興気な面持ちで写っている写真を見、
わたしは思わず大笑い、
「翔べないエンジェル」と命名しました。
ドレスの背中に、目に見えない白い羽が生えていると見えたからです。
あれから幾星霜、
この世で生きる意味を見つけ、
こつこつ倦まず弛まずに努力をつづけたおかげで、
今回の栄誉を勝ち得た、
ということになるでしょうか。
いまこうして、
ことばをつむぎながら、
ゆうちゃんの過ごしてきた時間を思い、おなじ時間をわたしはわたしで送ってきて、
それぞれ喜怒哀楽の波の上を揺蕩い、
こうしていま年末を迎えると、
そのはやさを思わずにいられません。
健康で、ひとに喜んでもらえることが一番かな。
ゆうちゃん、がんばれ!
よかったね。

弊社は、きょうが仕事納め。明日より1月9日まで冬期休業となります。
1月10日(火)より通常営業。
よろしくお願い申し上げます。
どちらさまも、
どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

 

・冬の暁闇宇宙の音すカチリ  野衾