めるるおやじ

 

昨日、休日出勤を終えての帰り、桜木町駅ビル一階にある回転寿司店に入りました。
四皿、五皿ほど食べたころ、
角の席を一つ残してわたしとアクリル板越し直角に、
おそらく、母と娘、それと父、三人連れの家族が座りました。
両親の年齢は、
わたしと同じか、
ひょっとしたら、
わたしより少し上だったかも知れません。
母と娘はよく会話をし、
その間、
父はといえば、
回転している寿司を見ることなく、無言で、
カウンターに置かれたメニューを睨んでおりました。
と、
「カツオのニンニク醤油づけ!」
と、
初めて、割と大きめの声を発しました。
「それ、美味しいの?」
と、
母の方に体を向けていた娘が、思い出したように父の側へ体を向き変え、
初めて父にことばを発した。
「仙台地方では、ふつうこうやって食べるのさ」
と父。
そうだったかなぁ、
と、
わたしの心の声が発する。
ほどなく、
艶やかに光るニンニク醤油漬けのカツオ皿が父のもとへ。
一瞬父の目が輝いた、
と、
わたしには見えた。
間髪入れずに父は一貫目を口中へ。
すると、あ~らら。
頑固一徹そうに見えた、どちらかといえば、渋めの男性、
両肘を折り曲げ、それを体にギュッと引き寄せて「うんまい! 絶品!」
そのしぐさを見ていて、
あれ、え~と、
どこかで見たことがあるゾ、
と、思った。
あ!
思い出した!!
オリヒロのテレビCM「ぷるんと蒟蒻ゼリー」に登場するめるるが演るしぐさにそっくり!!
へ~~!!
ちょっと感動した。
やはりなぁ。
事程左様に、人は見かけで判断してはいけない、
のでありました。

 

・読みとかむ黙す守宮の古代文字  野衾