破壊力抜群

 

おとといときのう、予定していた本を読み切り充実した時間を過ごしましたが、
少々アタマが疲れてきたなと感じましたから、
きのうの夕刻、
半分ほど読んで止めていた
中崎タツヤの『完全版 男の生活』(白泉社、2004年)を手に取った。
マンガです。
そうか。
一度ここで取り上げたことがありましたね。
中条さんのいうとおり、
そのあまりのショーモナさは抜群
で、
読み切るまでに五度ほど、
声を出して笑った。
わたしのなかのショーモナさに共振するのでしょう。
家人は出かけていましたので、
ひとり大声で笑い、
そして、
やがて悲しきタツヤかな。
この人、天才!
五度ほど笑ったなかから、
ひとつだけ、
文字のみでどれだけ伝わるか分かりませんけれど、
紹介したいと思います。
タイトル「不器用な俺」
サブタイトル「昨日の晩、考えてたのになぁ…。」
なお(  )はわたしの説明です。

 

(一本の木立の下、どうやら男女の別れの場面)
女:遊びだったのね
男:(女に背中を向けたまま)バカなことを言うな
(次のコマ、男はくるりと振り向き)遊びで女とつきあえるほど器用じゃないぜ
女:それじゃ私達の一年は何だったの
男:(また背中を見せながら)どうとってくれてもかまわない
(次のコマ、ふたたびくるりと振り向き)しかし!! これだけは忘れないでくれ
(その次のコマは、男と女が木立の前でじっと見つめ合う)
(さらに次のコマ)女:何を忘れるなって言いたいの?
男:…………
女:忘れたのね
男:……うん

 

あげればもっとあるけれど、
ガマンして一つだけにしておきます。
にしても。
このマンガを知ったのは、
中条省平さんの『マンガの教養』
でした。
あの飄々とした中条さん、
どんなお顔で『完全版 男の生活』を読んだんだろー、なんて想像すると、
それはそれで面白く、
静かな笑いに浸ります。

 

・夜半無言の里に雪積もるらむ  野衾