父の怒り
どういうきっかけで思い出すのか
匂いや味によらなくても 突然 過去のエピソードが蘇ることがあります
あれは祖父の葬式のときだったと記憶しています
田舎の農家のこととて
父が取り仕切り
自宅での葬儀の場でありました
要らぬ世話を焼きたがるひとは いつでも どこでもいるものですが
そのときも
本人は親切心からだったかもしれないけれど
そばでわたしが聴いていても
喪主でもないのに ずいぶん判った風なことをいうものだと感じた
すると
父が
怒鳴ることはさすがにしませんでしたが
きつい口調で一言
わがってる
抑えた一言なれど
そのひとことに 万感の思いが籠められていた
齢を重ねるごとに
我慢する場面が多くなった気がします
体が弱るとともに
どうやら心も弱るよう
こころに刻んだ皺の数
ひとに言えない罪の味
てか
ふ~わり浮かぶ雲にでもなりたい
雲になってやり過ごしたい
なんて
ぐっと腹に力を入れ堪え
ること間々あり
なんだった?
忘れてしまいました
ひとでなく
場に感謝
どうもどうも
・坂道を葱の白さや富士の峰 野衾