ほぼ満月

 

きのうは一日晴れていい天気でした。
帰宅途中、珈琲店で豆を買い、
スーパーマーケットで少々のおかずとおかきを買い。
ゴミ集積所の角を曲がって七十数段ある階段へ。
昇り終える寸前、
ひょいと上を見ると、
近くに住む白髪の女性がにこにこして立っていました。
「こんばんは」とあいさつ。
「そうですね。もうそんな時間ですね」
「ええ。日が永くなりました」
「さっき見たら満月がでていましたよ。ここからは見えませんが。
あら。そんなこと関係の無いことですね」
女性は少し照れ臭そうです。
「いえ。ありがとうございます」
女性にお辞儀をし、つづく坂道を上っていくと、
反対の丘の上空に満月。
いや、
下のほうが少し欠けているか。
いやいや、ほぼ満月だ。
しばらく見惚れ、
それからスイッチバックのようなカーブを曲がれば自宅。

 

・春雨にまた居るアンテナの烏  野衾