諸刃の剣
移動通信システムと「個別化したネットワーク形成」は諸刃の剣であり、
目の前にいない他者と連絡がとれると同時に
目の前にいない他者に監視されることにもなる。
そして、
「距離を隔てた存在感」がもたらされ、
「旅行者は常に連絡に応じることができ、
したがって常に監視下に置かれることになる」[Molz2006]。
そうした機械になじむことで、つなげられ、
他者とともに家に居ることになり、
家は世界を横断する「場(サイト)」になる。
そこでの他者は、
不思議なことに、その場に居るかと思えば居ないし、
ここに居るかと思えばあそこに居るし、
近くに居るかと思えば遠くに居るし、
家に居るかと思えば外に居るし、
接しているかと思えば離れている。
(ジョン・アーリ[著]/吉原直樹・伊藤嘉高[訳]
『モビリティーズ 移動の社会学』作品社、2015年、p.330)
きのうにつづき、
ジョン・アーリ『モビリティーズ 移動の社会学』から。
そこに居るかと思えばそこには居らず、
こちらに居るかと思えばこちらにも居ない、
それってな~んだ?
答え:忍者。
ブ~。
みたいな。
冗談みたいですが、
いまの時代の他者は、忍者に近いかもしれない。
いつでも連絡がとれるということは、
いつでも監視されているということと裏表。
監視されることを避けるには、
とどのつまり、
いつでも連絡をとれる状態を遮断するしかないようです。
・だまつこや鍋はアルミが似合ひけり 野衾