久非其位

 

象曰。久非其位。安得禽也。
(象に曰く、其位に非ざるに久しくす、安んぞ禽を得んや。)

 

自分の処(を)るべき所で無い処に、久しく留まつて居り、
何時までも其処に居つて動かない。
それでは禽獣を得るべき筈は無いのである。
恒といふは、
或る一定の事を守つて動かないのでは無く、変るべきときには変るのが、
本当の恒の道に叶ふといふ事を教へるのである。
正でも無く中でも無い処、
即ち久しく留まるまじき処に留まつてゐては、
終に何の得る所も無いのである。
周易述義には、
学問に就いて、
楊氏・墨子の仁義や、黄帝・老子の道徳や申不害・韓非子の政治の道や、
記誦詞章の学(即ち書物を読んでただそれを記憶暗誦したり、又、
文章や詩を作つたりする学問)などの類を久しく学ぶのは、
皆、此爻に当つて居る、と曰つてある。
(公田連太郎[述]『易經講話 三』明徳出版社、1958年、pp.55-56)

 

肝に銘じておこうと思います。

 

・手袋の指の先なる未知の闇  野衾