ピンクのスキップ

 

わたしの家は丘の上にありまして、
東側の窓から、
下の広いバス通りに向かうS字の道が見えます。
朝、
ツボ踏みの板に乗っていると、
いろいろなひとがいて、
目を楽しませてくれます。
手すりにつかまりながら階段を下りてきてゴミの袋を出す女性、
大股で仕事へ向かうサラリーマン、
坂の下からけっこうな勢いで上へ向かい走る老人、
と、
いろいろいるなかに、
いつも一人で坂を下りていくランドセルを背負った女の子がいます。
小学校の二年生か三年生でしょうか。
だいたい歩いて下りていきますが、
たまに走ることも。
一度だけ、
かなりの距離をスキップしていたことがありました。
じょうずなスキップです。
家を出る前に、
なにか嬉しいことがあったのでしょうか。
とくべつ何があったわけでもなく、
なんとなくスキップ、
かもしれません。
ランドセルの色は、うすいピンク。

 

・ふるさとや耳尖りたる冬の朝  野衾