よほど痛かった!?

 

ドレッシングがなくなりましたので、
帰宅途中、
保土ヶ谷駅近くのスーパーマーケットに寄りました。
ドアが開き、わき目もふらず、まっすぐ調味料のコーナーへ向かおうとしたとき、
けっこうな量のかさねた籠を外から持ってきた店員が、
さっさか歩いて店内にある籠といっしょにしようと放ったとき、
手の指が、籠と籠のあいだに挟まったのか、
ちいさくイテ! と発し、
挟んだ手を思いっきり二度、三度と振りました。
笑ってはいけないと思いつつ、
笑ってしまった。
しばし立ち止まり、考えました。
手の指をぶつけたり、なにかに挟んだりしたとき、手を振るのはなぜだろう?
振ると痛みがとれるのか?
じぶんのことを振り返っても、
そうするような気がする…。
ふむ?
ほかの客の邪魔になってもいけないので、
とりあえず目的の場所まで歩き、
てきとうなドレッシングを手に取り、
レジでお金を払って外へ出ようとしましたら、
籠を片付けていた先ほどの店員が、
何ごともなかったかのごとく、
仕事をつづけていました。
店を出ようとするわたしに向かい
「ありがとうございました」
わたしは、ぺこり頭を下げ、店を離れました。
もう少し若ければ、
おそらく、
彼女に向かい、
「さっきは、そうとう痛かったでしょうね」
とかなんとか、
声をかけていたように思います。
声をかけなくなって老年。

 

・吾よりも皆偉く見ゆ秋の暮  野衾