『未成年』

 

秋田県横手市生まれで、2012年に43歳で亡くなった漫画家に、
土田世紀というひとがいたことを、
これまで知りませんでした。
松本大洋の発言の中に、
土田に対するなみなみならぬ気持ちが表れている気がし、
さっそく読んでみました。
『未成年』
これがデビュー作だそうで、
当時土田は17歳。
花のセヴンティーン。
これが花のセヴンティーンが持つセカイカンだが?
「だが?」は秋田方言で、
「~でしょうか?」
ぐらいのニュアンス。
話のなかにチラッと永ちゃんの名
が出てきますが、
登場する高校生たちの風貌も、
どこか若き日の永ちゃんを彷彿させるものがあるので、
永ちゃんの曲をかけながら、
『未成年』を楽しんだのでした。
土田にはそのものズバリ『永ちゃん』という作品もあるらしく、
そちらも読みたいけれど、
どうやら絶版のようで、
代わりに、
というのも変ですが、
矢沢永吉の『成りあがり』を途中まで読みました。
このごろテレビでよく見る出川哲朗のバイブルだというのも分かる気がします。
それと、
きのうずっと聴いて思ったのですが、
矢沢永吉の歌には、
根っこに揺るがぬ明るさがある気がします。
『成りあがり』を読むと、
そうとう苦労したひとであることが分かりますが、
イジケたりヒネクレたりしていない。
根の明るさは、
三波春夫に通じる筋金入りのものであると感じます。
なぜそう思うかといえば、
しばらく聴いた後、
じぶんの体の芯がほてって、
いい時間を過ごしたナと、
まるでほのかな恋でもしているような気分になっている
ことに気づくからです。
さて土田世紀、
すでに亡くなっているのは残念ですが、
また一人、
あたらしい才能に巡り合いました。

 

・言の葉のなぎさに秋の佇めり  野衾