あせったー!

 

雨がぽつぽつ降り出す中、
保土ヶ谷橋の交差点をわたり駅に向かって歩いていたとき、
ふと左手に持っているバッグの中を覗くいたら、
ん!?
おや!?
あれっ!?
無い!
無い。無い。
無い。無い。無い。無い。無いぞっ!!
左手の路地の駐車場のスペースで、雨なんかもうそっちのけで探した。
定期が無いっ!!!!!
いつだ?どこだ?なぜだ?馬鹿だ!待てよ!
交番。待て(なにを?)その前にきのう寄った店か。
いや、駅か。
へんな汗がどっと出る。
落ち着け落ち着け(だれに?)とりあえず家だ。
家人に電話。
「もしもし」
「どうしたの?」
「定期が無い。無いよ。失くした!」
「よく探してみたの?」
「探した」
「交番に届けたら。よくあることだよ」
「わ、わかった」
この時点でわたしはすでにパニック状態。
ガラケーを失くしてショックを受け、
そのことが未だに夢に出てくる。
その悪夢が今まざまざとよみがえったのだ。
へんにゃり、ぐんにゃり、しながら、交番に、向かって、
とぼとぼっと、歩いてい、
たとき、
スマホに着信。
見れば、家人からだった。
「はい。もしもし」
「定期玄関に落ちてたよ」
「は。あ、そ」
へにゃへにゃ、腰が融けていくよう。
よかったー!!!!!
小さいころから物をよく失くす子でした。
傘なんか、おそらく数十本。
その度にショックを受け、自己嫌悪に陥った。
トラウマなんて無いっ
ていう学者もいるようだけど、
わたし自身の経験からすると、
やっぱりあるよトラウマ、
と言いたい。
とにもかくにも、
定期あってよかった。よかったよー!!
つかれた。

 

・鰯雲あとは言ふまい語るまい  野衾