『五・七・五交遊録』

 

和田誠さんのたのしい本を読んでいます。
『五・七・五交遊録』(白水社、2011年)
本の帯に
「思い出のなかの俳句 友だちにおくる俳句」
とありまして、
友だちとのエピソードを交え、
かれ、かの女におくる俳句が添えられていますから、
こういうふうにつくる俳句もいいなぁ
と思います。
横尾忠則さんにちなんだ俳句は、

 

洞窟を行く少年の夏帽子

 

和田さんは横尾さんを「横尾ちゃん」と呼び、
横尾さんは和田さんを「和田君」と呼んでいたらしい。
たのしいエピソードがつづられたあと、
さいごのところにこんなことが書かれています。

 

ついでに言うと横尾ちゃんは俳句に興味はなさそうですが、
最近は小説を書き、書評もします。
小説では鏡花賞も受賞してる。
客観的には今やたいへん立派な芸術家ですが、
会って話したり電話で喋ったりする時は昔のまんま。
ぼくにむずかしいことを言っても理解できないことを知っているので
「熱射病で寝てた」とか
「いろいろめんどくさい」とか、
そんな話ばかりです。

 

和田さんのイラスト同様、
シンプルですが、力の抜けた味のある文だと思います。

 

・ご近所さんと珈琲喫す五月かな  野衾