永田耕衣俳句集成

 

何年か前に買ってあって、
ぽつぽつちりちり読み進めていましたが、
この連休、思い立って一気に最後まで。
とは言い条、
根源俳句とか言われてもあまりピンと来ず、
「夢の世に葱を作りて寂しさよ」
をはじめ、
三つ四つ、五つ六つぐらいは、好きな句もありましたが、
それぐらいで。
それよりも、
巻末の、
自筆の年譜がめっぽう面白く、
たとえば、

 

昭和53年(79歳)8月31日、
早朝狭庭隅で野猫のウンコを踵で踏む惨事あり。臭気これに如くもの無し。
幼児生家の畑にて手掴みしたるよりはマシか。

 

とか、

 

昭和54年(80歳)1月12日、
黒赤色めく自糞におどろき、ユキヱと千恵子に見て貰ったが異常色に非ずという。安心。

 

ユキヱというのは奥さんで、千恵子は、同居していた長男の妻。
また、
知っている名前が多く登場し、
その点でも面白かった。
森信三、飯島耕一の名前がでてきたり、
宇多喜代子から手作りのゴマ豆腐を贈られたり。

 

・あけぼのの湖を霞の罩むるかな  野衾