神経症の時代

 

昨日、
『森田療法の誕生 森田正馬の生涯と業績』
の著者・畑野文夫さんをお招きし、
森田療法についてお話をうかがいました。
畑野さんは、
高校生のころ対人恐怖症となり、
大学生時代に、
入院森田療法を実践しておられた鈴木知準のもとに
79日入院されました。
その体験が、
80歳になった現在も生きていると話されました。
畑野さんの本と合わせ、
わたしは、
フローリアン・アリエスの『1913 20世紀の夏の季節』(山口裕之=訳)
を読んでいました。
第一次世界大戦の前夜ともいうべき年に、
どんな人がどんな動きをしていたのかを記したドキュメンタリーですが、
たとえば、
フロイト、ユング、トーマス・マン、ジェームズ・ジョイス、プルースト、ムージル、
トラークル、クラウス、ルー・ザロメ、ヒトラー、スターリン、
ピカソ、シュペングラー、ヴィトゲンシュタイン、等々、
トリビア的な情報も含め、
この人らの生のありようを読んでいくと、
ベル・エポックとよばれた時代、
また、モダニズムの幕開けの時代は、
いわば神経症の幕開けでもあり、
それがいまに至り、
いまも続いているとの感を深くしました。
森田正馬は、
この時代の申し子といえそうです。
森田療法の根本は、
一対一の人格的な関係にあるとの見方を
本と対談をとおして教えていただき、
それはまた未来を遠く照射していることに気づかされます。

 

・春の雨アンモナイトの白き黙  野衾