冷却

 

・七夕や雨では姫と逢へぬなり

出版業界第四位の取次である栗田出版販売が
民事再生法適用の申請を申し立てたことをふまえ、
昨日、
債権者への説明会が行われました。
九時四十五分受け付け、
十時半に開会された午前の部の会場には、
一五〇〇~二〇〇〇人ほどの人が集まっていたと思われます。
栗田の社長の挨拶からはじまった説明会でしたが、
債権者の多くを占める売掛金の凍結は、
まあ、
ふつうのこととして、
返品処理の問題に至るや議論沸騰。
延々四時間をすぎても
まだ終わる気配なく、
半そで姿のわたしは二の腕をこすりこすりし、
耳をかっぽじいて聴いておりましたが、
体の心まで冷えすぎて、
とうとう腹まで痛くなり、
最後の最後、
閉会する前に会場を飛び出しました。
あ゛あ゛寒かった!
凍え死ぬかとおもったよ。
ところで。
こまかいところをともかく、
本の委託販売制度というのは、
書店で売れなかった本が戻ってくる、
いわゆる返品の際の代金が払えず、
(委託の際にいったんは代金が出版社に入ってきますから、
資金繰りにつかってしまうのはあたりまえ)
世に出なくてもいい本を無理に作って配本してもらい
資金繰りに充てるという
自転車操業が実態であるのに、
きのうの説明会での弁護士の説明によると、
売掛金は凍結するは、
返本は過去にさかのぼって、
請求が来る!
それも栗田からでなく、
統合を計画している大阪屋から
ということであってみれば、
開いた口がふさがらない。
取次の委託販売というのは、
手数料商売で、
極論すれば、
本が売れようが売れまいが、
回転率さえ確保できれば
日常業務および売り上げの最低限は保障される、
とは理解してきたところですが、
今回のように、
取次の倒産ということになれば、
出版社を切って、
自分たちが生き残れるようにする手立てとしても
有効に機能するものだということを
まざまざと知らされました。
百姓は生かさず殺さずというけれど、
出版社もどうやら百姓のお仲間のようです。

・ドライヤー無ければ髪も濡れたまま  野衾