なにかいいこと

 

帰宅時、JR保土ヶ谷駅から保土ヶ谷橋の交差点に向かって歩いていたとき、
まえをとぼとぼ(と見えました)
歩いている小学生がいました。
数歩歩いて立ち止まり、右へ歩いて立ち止まり、こんどは左へ数歩。
がっこうで何かいやことでもあったのだろうか。
そんなことまで想像しながら少年に近づき、
追い越そうとしたとき、
ひょいと見ると、
少年は小石を右足でポンと蹴りました。
そういうことか。
すぐに追い越しましたが、
歩きながら振り返ると、少年はまだ石蹴りをつづけていた。
蹴るのにちょうどいい石をどこで拾ったのだろう。
とおい記憶が蘇ります。
だれから教わったわけでもないのに、
子どものころ、歩きながら、よく石を蹴りました。
ポンと蹴り、歩いて石に追いつき、またポンと蹴る。一歩、二歩、三歩、四歩、ポン。
また歩く。
あの電信柱に石がぶつかったら、なにかいいことがある。
ポン! 外れ。
道のちょうどまん中で止まったら、なにかいいことがある。
ポン! 外れ。
あの水たまりに入ったら、なにかいいことがある。
ポン! やったー!!
なつかしい石の思い出。
家に着く頃にはすっかり忘れてしまい、
また学校の帰りに道を歩いていて、目の前に小さな石が転がっていると、
踏まずにいられませんでした。
ポン!

 

・どつさりと疲れを下ろす去年今年  野衾