秋蝶は

 

きのう、正午を少し回っていたでしょうか。
散歩がてら
保土ヶ谷駅まで行こうと家を出て間もなく、
鉢植えの花ちかく
蝶が飛んでいました。
十月も押し迫ってきたのに珍しい。
さっそくスマホを取り出し写真を撮ろうとするのですが、
気配を感じてか、
こちらの気に入るようには
撮らせてくれません。
近づくと逃げ
離れるとまたやって来ます。
ちょうちょうとは飛ばず、
あくまでも
てふてふてふと。
てふてふ、てふてふ、てふてふ…。
てふてふ、てふてふ、てふてふ…。
近づくと逃げ
離れると来る。
「こんにちは」
振り向けば近所の奥さん。
「どうも。こんにちは」
結局写真は一枚も撮らずに終わりました。

 

・秋蝶の来(きた)りてふてふ光るかな  野衾