誤植を見つけたら

 

・叩くほどぬめり増したりミズタタキ

読んでいる本に誤植を発見したとき、
みなさんはどうしていますか?
あ、誤植だ、
と見つけても、
そのままやり過ごすことも考えられますが、
職業病とでもいうのか、
わたしの場合、
そのまま次の行へ眼を移すことがなかなかできず、
結局、
鉛筆で小さく直してから
ということになります。
古本屋に売るつもりのない、
かといって、
さしあたり再読の予定がない本であっても、
誤植となれば直さずにいられない。
やはり職業病なのでしょう。
直すと
気持ちがスッとしますから、
だれのためでもなく、
自分のため。
古い本を読むことが多くあり、
そこに誤植を見つけると、
自分のためが第一ではありますが、
すでにこの世にいない著者から
へ~よく見つけてくれたね、
こりゃどうも、
なんて、
褒めてもらった気にもなります。
『退屈讀本』(大正十五年新潮社)では、
著者・佐藤春夫さんから
ずいぶん褒められました。

・雨の日を正座で叩くミズタタキ  野衾