トホホ…な、嫉妬

 

嫉妬の根源には、したがって二つの発見がある。
一つ目は、われわれは、
自分が大して気にも留めていないと思っていた人物のことを、
案外気にかけていたのだという発見である。
二つ目は、
この人物にもその人自身の人生があり、
その人自身の関心や人間関係があり、
そして、
その人がどんなに従順で服従的に見えたとしても、
その人の欲望は決して
われわれの思い通りにはならないのだという発見である。(p.148)

 

上掲の文章は、
『プルーストと過ごす夏』(アントワーヌ・コンパニョン、ジュリア・クリステヴァ 他
/國分俊宏(こくぶとしひろ)訳/光文社/2017年)の一節。
この本は、
訳者あとがきによれば、
2013年7月1日から8月23日までの月曜から金曜、
八週にわたって毎週一人ずつ
研究者や作家などのゲストがプルーストについて語るという
ラジオ番組の放送からうまれたもの。
ということで、
サクサクッとおもしろく、
ときにプッと噴き出したり、
わかいころの傷みと痛みを思い出したりしながら読みました。
ちなみに、
引用した文章をふくむ「愛」の章の担当は、
1933年生まれ、哲学者でソルボンヌ大学名誉教授のニコラ・グリマルディさん。

 

・崖うへの烏賊焼く店や走り梅雨  野衾