青春の門

 

本を読まなかった子ども、
というのがわたしの自己紹介のまくらになっており、
それは事実でありますが、
高校に入ったのを境に
俄然本を読むようになりました。
きっかけのひとつが漱石の『こゝろ』
本を読まないわたしを気にかけ母が買ってくれたのに、
読まないでいた(正確にいうと、二ページ読んでいやになった)『こゝろ』を、
高校生になって気を入れて読んで度肝を抜かれた。
もうひとつが五木寛之の『青春の門』
これはだれに勧められたわけでもなく、
本屋に入り歩いているうちに目がとまり買ったような気がします。
正確な記憶ではありません。
「青春」「門」の単語に反応したのかもしれません。
血沸き肉躍るということばがありますが、
まさにそれ。
テレビアニメの『巨人の星』『タイガーマスク』は
それこそ血沸き肉躍りましたが、
紙に印刷された文字を読んでそうなった
のは初めて。
主人公・伊吹信介と幼馴染の牧織江の初めての夜のシーンなど、
もはや鼻血ブー!!
(古いか。天才谷岡ヤスジの漫画にでてくるもので流行語になりました)
当時でていた単行本をつぎつぎ買って読みましたが、
そのうちに、
実人生において青春の門をくぐり、
しずかに本を読んでいる場合でなくなった、
わけではありませんで、
なかなかつづきが刊行されないでいるうちに、
興味がほかへうつった
というのが真相です。
五木さん、
二十三年ぶりだかに執筆を再開したようですが、
もう読まないだろうなぁ。
とにかく衝撃の読書体験でした。
なつかしい!

 

・夏草に洩るるひかりやまんだら堂  野衾