モンテーニュ再読

 

はじめて読んだのは岩波文庫でした。
原二郎訳『エセー』
いまから三十年ほどまえでしょうか。
過日インターネットをつらつら眺めていたら、
関根秀雄訳『モンテーニュ随想録』が二〇一四年に国書刊行会から
一冊もので刊行されていることを知り、
これまで読んだことはありませんでしたが、
関根秀雄の名前は知っており、
岩波文庫で六冊だった分量のものが一冊で、
というのも興味があり、
さっそく購入し読みはじめました。
巻末の年表・付録・あとがき・索引を除く本文だけで1285ページあります。
改訳をふくめ
生涯かけて自身の訳文に手を入れていた
ということにまず驚きますが、
そのためもあってか
日本語の文章がこなれていてとても読みやすい
だけでなく、
ところどころに施された注が
言葉の注にとどまらず、
関根さんがモンテーニュをいかに読んできたかが想像され、
小さな文字の注が
ふかくこの本の滋味を支えていると感じます。
関根秀雄は、
一九八七年七月に九十一歳で亡くなりました。
本のあとがきは、
ご息女である戸部松実さんが書いています。
それがまたすばらしく、
すっきりさらりとしていながら、
ご父君へのふかい情愛と
『モンテーニュ随想録』のおもしろさが
しみじみつたわってきます。
その戸部さんに、
なんとわが社の武家屋敷こと山岸が
大学時代に教わっていたことを知りさらにびっくり。
いつか、
関根秀雄の学問とモンテーニュの魅力について、
戸部先生からじかにお話をうかがえる機会があればと願っています。

 

・花ぐもりドローン見上ぐる親子かな  野衾