紺青の拳

 

四歳のときから知っているりなちゃん、
いまは高校三年生。
毎年この時期になると、
名探偵コナンの新作映画を観、
それから
馬車道にある勝烈庵本店まで歩き
盛り合わせ定食をいっしょに食べるのが恒例になっています。
昨年はわたしが体調を崩したため
映画を観ることができませんでした。
ことしはなんとか体調が戻りましたので、
日曜日に『名探偵コナン 紺青の拳』を観てきました。
ストーリーがふくざつで
おじさんには分かりづらいのかと思いきや
そんなことはなく、
二時間があっという間でした。
こんかいはシンガポールが舞台でしたが、
たとえば、
ホテルの高層階の窓から眺める景色、
マーライオンの口から吐き出される水の描写など、
ストーリーに直接関係しないところもきっちりと作りこまれており、
この映画の完成度が
そんなところからも推し量れました。
ところで、
ひと月ほど前から
「名探偵コナン 紺青の拳」のポスターを町で見かけました。
そのたびに
ことしは観に行けるかな
と思いながら通り過ぎたのですが、
ポスターの「紺青の拳」
こんじょうの……
はて、なんと読むんだろう?
近くまで行けば分かったのでしょうけれど、
そうしなかったので、
読み方が分からず、
けん? いや、こぶし?
当日映画館に行き、フィストと読むことを知り、
そのことをりなちゃんに話したら、
笑われました。
が、
けして冷たい笑いではなく、
りなちゃんもわたしが健康を回復して
映画を観に来られたことを喜んでくれているようでした。
勝烈庵の盛り合わせ定食も
かわらずに美味しかった。

 

・初蝶やそこここあちらわたりゆく  野衾