モーツァルト

 

モーツァルトの明るい曲を聴いていると、
ふるさとの春を思い出します。
雪がとけ始めても
道路はしばらく濡れていますが、
それがだんだん乾いてきて、
土が白っぽくなってくる。
いまはほとんどアスファルトの道になってしまったけれど、
小路はむかしのまま。
そうなると
居ても立ってもいられない。
自転車。
自転車でどこまで行こう。
弟をさそって、
五城目、一日市、八郎潟、……
自転車に乗らなくなってからこっち、
春の景色が
おとなしくなったような。
春風には少しとどかない東風をあびながら
自転車をこぐと、
なみだまででてきたっけ。
あれはさむさの棘だったんだろう。
…………
休日のモーツァルトもいい。

 

・雪ふりやまず利休鼠の海に野に  野衾