ルターの本気

 

宗教改革の立役者マルティン・ルターの著作のなかから
「95か条の提題」「キリスト者の自由」など、
主な作品をえらびまとめたものが
『ルター著作選集』として教文館からでている。
そのなかに、
「ヴィッテンベルク版「ドイツ語著作全集」第一巻序文 1539年」
が入っており、
その冒頭に置かれている文言に刮目した。
いわく、
「私の切にねがっていることは、私の書物がことごとく捨てられて、
消滅してしまうことである。」
なぜなら、
ひとびとが聖書のほかに多くの書物を無差別にかき集め、
大きな書庫に入れ、
肝心かなめの聖書は腰掛けの下に
ほこりにまみれ忘れられるにいたったからであると。
パウロの精神をまっすぐ受けつぎ
腐敗したキリスト教界に旋風を巻き起こしたルターの
本気がうかがわれる
切っ先鋭い内容の文章に触れることができた。

 

・長き尾を針金のごと冬の猫  野衾