バーゲンセール

 

最初にお断りしておきますが、
夢のはなしです。
初夢ではありません。
すでに変なのから愉快なものまで
いろいろと見てますので。
しにせの古書店が開催するバーゲンセールの夢でした。
おおきな古書店で、
フロアが三階まであり、
どの階も本の数に匹敵するぐらいの人の数。
立錐の余地もないぐらい。
気に入った本をすでに何冊も抱えているひとがあり、
すれちがうこともままならず。
わたしも
欲しい本を数冊見つけ持ち歩いていたのですが、
値札を見ていなかったことに気づき、
ひょいと見た。
一冊が七万円、もう一冊が八万円、
さらに上下巻で持っていた二冊は合わせて十一万円、
ギョギョギョとなって、
あわてて返却
しようとしたら、
店の人に理由を訊かれたりしてどぎまぎ。
しどろもどろになりながらも
なんとか返すことができ、
買わずに済みました。
さて二階も見てみようかな
と階段にさしかかったときのこと、
上から連なって下りてくるひとのなかに
見覚えのあるひとがいて、
よく見たら
業界紙のAさんで、
「あれ、Aさんじゃないですか」
「あ。みうらさん」
「もうお帰りですか? ずいぶん買い込みましたね」
「あ、はい。もうすぐ銀行が閉まってしまうもので…」
「そうですか」
Aさんは下から上ってくるひとにぶつからないように、
買った本を大事そうに抱えながら
ゆっくり階段を下りてゆきました。
Aさんと別れたあと、
わたしは二階に上っていったはずですが、
それからのことはどうにも思い出せません。

 

・初春や祖母も来てをり竈神  野衾