プラテーロとわたしとわたし

 

『プラテーロとわたし』という本も、
それを書いたスペインの詩人ヒメネスというひとも知りませんでした。
もう四十年ちかくまえのことになります。
プラテーロとわたしも
ヒメネスも
シンプルで覚えやすく、
それにこちらのわたしも若かったので、
忘れずに来ました。
が、
名前を知っているだけで、
買うことも読むこともなく月日が過ぎていきました。
二〇一一年、
東日本大震災があった年に
新刊案内のニュースか何かで、
新装版がでることを知りさっそく求めました。
が、
それでもまだ読まずに
自宅の本棚に置いたきり
月日ばかりが過ぎていきます。
そしてきのう、
初めて読みました。
なんでいままで読まなかったのか
と思うぐらい
のもので、
ふと時計を見れば
すでに夕刻でもありましたから、
のこりのページは
つぎの休日の楽しみに
とっておくことにしました。
「プラテーロは、小さくて、ふんわりとした綿毛のロバ。」
訳は伊藤武好さんと伊藤百合子さん。
絵は長 新太さん。
訳も絵もすてきです。
「スペイン語で銀はプラータといいます。そこでプラテーロの名は、
銀のようなというひびきをもっています。」
と注に書かれています。
帯には
「これはたぶん、私の知る限りもっとも美しい書物です。」
江國香織さんのことばが引かれています。
時間はあっという間です。

 

・これほどの日和のなかの初湯かな  野衾