流星ひとつ

 

じぶんで勝手に決めていることなので、
変更は自由なのですが、
いちおう
これから読む本の順番というのがありまして。
ではありますが、
箸休めのつもりで手に取った
沢木耕太郎の『流星ひとつ』(新潮社)
がめっぽうおもしろく、
止められなくなりましたので、
予定は未定
のことばにならい、
こちらを最後まで読むことにしました。
この本は、
宇多田ヒカルの母である藤圭子におこなったインタヴューをまとめたもの
で、
地の文が一切なく
すべてふたりの会話文で構成されています。
宇多田ヒカルの母といわなくても、
藤圭子だけで分かるひとも少なくないでしょう。
話し言葉であるだけに
ちょっとした単語の使いかた、語尾に
その人の特徴が表われ、
目の前で藤圭子が話しているような錯覚に襲われます。
たとえば「別に」、
これを藤圭子はよく使う。
すかさず「また「別に」ですか」と沢木。
「だって、とくべつ強い気持ちがないんだもの」
会話から藤圭子の人となりがあぶり出されてきます。
さすがは沢木耕太郎、
たいしたわざだと思います。

 

・寒夕焼(かんゆやけ)伊良湖の夜を分かちけり  野衾