無意識の発見

 

意識の下にあって
意識よりも広く深い領域を指す心理学用語として
いまでは日常会話の中でも
ふつうにつかわれている「無意識」
ですが、
ふるくからあった概念かと思いきや、
そうではなく、
割と最近、
催眠術・磁気術などを通して、
十八世紀ごろに起きてきた考えであることを
初めて知りました。
アンリ・エレンベルガー著『無意識の発見』(弘文堂、1980)
エピソードをふんだんに取り入れ
緻密に論じて飽きることがない。
上下二巻で1100ページを超える大著ながら、
木村敏、中井久夫をはじめ、
日本における精神医学の精鋭たちの共訳。
訳もすばらしい。
大げさでなく下手な小説より面白い!
フランスの心理学者・精神医学者のピエール・ジャネが
コレージュ・ド・フランスに就職する際、
ジャネの畏友でもある
哲学者ベルグソンの推薦があった
などというのも、
時代の空気がうかがえて楽しい。
お勧めです!

 

・いぼむしり行きつ戻りつ進みけり  野衾